CASE 09

両親の変化を目の当たりにして、今では自信を持って「人は変えられる」と言えます。

脳トレを始めて1番驚いたのは、「人は変えることができる」ということでした。

私は長年、両親との関係に息苦しさを感じていて、一時は「自分らしく生きるためには、実家と縁を切るぐらいした方がいいんだろうな」と思うぐらい、大きな枷になっていました。
小さい頃から過保護・過干渉で、付き合う友達に口を出されたり、厳しい門限を守らされたり、ゴミ箱の中をチェックされたり……1人の時間を持つこともままならず、プライバシーなんて皆無。
就職でやっと家を出て1人暮らしすることができても、週に1回は必ず連絡を入れるように言われ(入れないと電話がかかってくる)、定期的に実家に帰ることを求められていました。
「元気か?」「ご飯は食べてるか?」「仕事は大丈夫か?」
私を心配する言葉は、両親なりの愛情なのかもしれないけれど、私には苦痛でした。
私の都合なんてお構いなし。自由になりたいのに自由になれない。
そんな時に脳トレに出会い「人は変えられる」と学び、本当に変えられるの?と半信半疑に思いながら、両親がどうなってくれたらいいか考えるようになりました。
私の願いは、両親が私を一人の大人として扱ってくれること、私に対して理解の姿勢を示してくれること、そうして両親が自分たちの人生に集中できるようになることでした。

それからしばらくの間は、特に大きな変化もなく両親も相変わらずでした。
一方で私は、新卒から勤め続けた仕事に面白みが感じられなくなっていて、キャリアアップを勧める上司との折り合いもうまくいかずに、仕事に対して疲れ切っていました。
そんな中で実家に帰省したある日、私の様子がおかしいのを母が見抜いたんです。

「今の仕事、全然楽しそうじゃないね。どうなの?」

そこからは大喧嘩! 泣き喚いて泣き叫んで、感情を爆発させて辛い気持ちを吐露する私に、母が言いました。
「やりたくないなら、やりたくないって言えばいいじゃん」
恐らく前の母だったら私の気持ちなんてお構いなしに、「やりたくなくても仕事なんだから」と言っていたと思うんです。
だから「この人は何を言ってるんだろう?」って最初はよく理解できなくて、でもその後に「私の意見を聞いてくれたんだ」って不思議な気持ちになりました。
それから母に対して、本当は今の仕事をやりたくないこと、別にやりたいことがあることを素直に話し、同じことを父にも話しました。
父の返事もまた「いいんじゃないか」とアッサリしたもので、その時初めて「ようやく私は両親に受け入れてもらえたんだな」と感じました。

本やネットでは「人は変えられない。変えられるのは自分だけ」と散々書かれていて、私も実際に両親が変化するまでは半信半疑でした。

でも両親の変化を目の当たりにして、今では自信を持って「人は変えられる」と言えます。
嬉しかったのは、私が脳トレを始めたことで、自分だけじゃなく両親にも過ごしやすい環境をプレゼントできたこと。
母は私が高校生の頃から心身の調子を崩していましたが、それもスッカリ落ち着きました。

その後、私は転職し、両親とも色々話し合って今は実家に戻って暮らしています。
両親に対して信頼感や安心感が持てるようになった今、もう以前のような息苦しさを感じることはありません。